変化球を自在に操ったエース亀山優斗の粘投が岐阜城北(昨秋県4位)を春の覇者にいざなった―。春季岐阜県高校野球大会最終日は29日、ぎふしん長良川球場で決勝、3位決定戦を行い、岐阜城北が3―2で逃げ切って、中京(同2位)を下し、21年ぶり3度目の優勝を遂げた。3位決定戦は岐阜第一(同3位)が五回コールドの11―1で大垣商(西濃1位)を圧倒した。激戦を詳細にリポートする。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

 ◆チェンジアップで4番小原との対決を制し、亀山がV投手に

 「一番警戒した相手」と亀山が語る中京4番小原輝也との対決を制したのが、1点差を逃げ切った最大の要因。その鍵は「チェンジアップ」だった。

中京×岐阜城北=力投し、岐阜城北を春の覇者に導いたエース亀山優斗=長良川球場

 「立ち上がりはよくなかった」と振り返る先制を許した後に、第1打席は巡ってきた。「前の試合が五回コールドで予想以上に早く終わり、正直、準備不足だった」と亀山。いきなり先頭の中嶋悠輝に中前打を浴び、投ゴロで1死二塁。3番鈴木悠悟に中前適時打を浴びて先制されたが、続く小原には徹底してチェンジアップで攻めた。追い込んでからの6球目、チェンジアップを拾われたが、右飛に打ち取った。

 対する小原は「ボックスの後ろに立っていたのを前にして修正したが、この大会の調子の悪さが出て、フライアウトになってしまった」と悔しがる。続く中川蒼大を三振に仕留め、最少失点で切り抜けた。

 故障から復活した中京の3年生左腕・日比野脩平の制球難や敵失に付け込み、味方がすぐさま逆転してくれたが、二回にも日比野に適時打を浴び、追いつかれる。だが、三回、2度目の小原との対決をまたしても制し、流れを渡さなかった。

 先頭の2番井之脇陸斗の内野安打、鈴木進塁打の1死二塁。今度もチェンジアップが有効に決まって、最後は投ゴロに仕留め、中川を二ゴロで勝ち越しを許さず、その裏、逆に女房役の捕手瀧戸輝星の中前打での勝ち越しにつなげた。

 ここからが、今春、ステージを一つ上がったエースの粘り強さの真骨頂。...