9回2死まで踏ませた二塁は、暴投による1度のみ。中京(昨秋県2位)の2年生エース鈴木悠悟が初完封こそ寸前で逃したものの、また一つ上のステージへ駆け上がった。春季岐阜県高校野球大会第4日は26日、大野レインボーで準決勝を行い、中京が鈴木の2試合連続完投による2―1のサヨナラ勝ちで岐阜第一(同3位)を下し、4年ぶり21度目の春季東海切符をつかんだ。岐阜城北(同4位)は5―1で大垣商(西濃1位)を圧倒し、16年ぶり4度目の春季東海大会出場。激戦を独自視点で詳細にレポートする。
◆力押しと絶妙な変化球のコンビネーション 完封目前投球の中京鈴木
高校野球フェアでエースとしての飛躍を見せ、春県準々決勝で練習試合を含め高校初完投で県岐阜商(岐阜1位)を撃破した中京のエース鈴木。準決勝の先発マウンドでは、さらなる非凡なピッチングを見せつけた。

相手は、初戦を6―1、2回戦、準々決勝と2試合連続コールドの圧倒的な強さで4強に勝ち上がった岐阜第一。1巡目は1安打こそ喫したが、自慢のストレートで果敢にインコースを攻める力攻めで圧倒した。
2巡目、四回先頭の相手主将兼松秀真に中前ポテンヒットを打たれ、二ゴロで一塁走者を入れ替わった主砲水野匠登を暴投で二進。9回2死まで唯一となる二塁を踏ませたが、進化の新たな武器として手にした遅いカーブを巧みに使って、的を絞らせずに、ここからパーフェクトピッチング。今春、第3の進化を実証した。
カーブ、持ち球のスライダーに加え、有効だったのが、140キロ超えと、遅い球の2種類のストレートの投げ分け。「しっかり指にかかれば速くなるが、微妙に指先で調整している」と驚くほど高い天性のセンスを余すところなく発揮した。「ファーストストライクをきっちり取れたのが大きい。ほぼ完ぺきだった」と鈴木も自らの成長を自覚する。
岐阜第一の田所孝二監督も「最初はストレートで押してきたが、変化球でかわすピッチングに切り替えてきた。いい投手と対戦する時にいつも球数を増やさせる作戦をとるが、ストレート押しに積極的に打たせることにした。攻略法を間違えた」と振り返る。
故障でいまだマウンドに立っていない岐阜県ナンバーワン左腕の水野匠登も「2年生であそこまでのピッチングができるのはすごい」と脱帽する。そんなピッチングだった。だが、未経験の完封勝利を目前に思わぬ落とし穴が待っていた。
九回先頭の代打上林拳志朗を二ゴロ、1番灰谷叶翔を3打席連続となるスライダーでの三振で瞬く間に2死。完封まであと一人で迎えた2番兼松。...