高崎だるまをモチーフにした器(下)と埴輪を再現した箸置き

 群馬県高崎市の食器卸売会社「三美堂」4代目社長の吉村聡さん(39)が、ひと目で群馬と分かるユニークな形の和食器の商品化に取り組んでいる。200年以上の歴史がある伝統工芸品の高崎だるまをモチーフにした器の他、全国有数の出土例を誇る埴輪を再現した箸置きも世に送り出す。「食器を通じて魅力を発信する」と力を込める。

 市内の事務所には、サイズやデザインが異なるグラスや陶器が棚いっぱいに並ぶ。中でも、県の西部と北部に連なる山々の隆起や南東部に広がる関東平野を表現し、ご当地かるたに登場する「鶴舞う形」にちなんだ県の形を模した食器が目を引く。

 前身会社を含め1957年創業。当初は結婚式の引き出物やホテルの引き合いがあり、最盛期には札幌市から京都府、福岡県まで全国に営業拠点を張り巡らした。バブル経済崩壊後、安価な海外製品の流入やネット通販の台頭で業績は低迷。医薬品会社の営業職だった吉村さんは30歳で「苦境の食器業界を盛り上げたい」と家業を継いだ。