2005年の尼崎JR脱線事故で1両目に乗り負傷した兵庫県宝塚市の会社員木村仁美さん(41)が、被害に遭った人たちに向けて発行するメールマガジンが300号を超えた。事故と向き合う人生は「ゴールの見えない、ハードなマラソン」。心身に癒えることのない傷を抱えながら生きる被害者らの支えになればと、発行を続ける。
05年4月25日、大学4年だった木村さんは就職活動で面接に向かっていた。駅のホームで偶然会った高校時代の友人、福田裕子さん(41)とおしゃべりしながら大阪方面に向かう途中だった。
「キキーッ」。大きなブレーキ音と同時に車体が傾いた。とっさに福田さんの手を握ったがほどけ、自身はかばんを抱えて目を閉じた。強い力で飛ばされ、車内のあちこちに全身をぶつけた。衝撃が収まると、折り重なった人の上を移動して車体に開いた穴から脱出した。全身打撲と左すねに大けがを負っていた。