ミャンマーの大地震被害に国際的な関心が集中する陰で、東部ミャワディ周辺のタイ国境地帯を拠点とする中国系犯罪組織が今も特殊詐欺を続けている。現地で犯行に加担するミャンマー人の男がオンライン取材に応じ、経済が疲弊する同国で詐欺拠点は「重要な雇用」を創出しており、多数のミャンマー人が罪悪感を抱えつつも犯罪に手を染めていると話した。
「詐欺拠点のビル群も組織の活動も、地震の影響はほとんど受けていない」。コーミョー(35)は11日、そう話した。
コーミョーは最大都市ヤンゴン近郊の出身。2021年2月のクーデター当時は建設省に勤務する公務員だった。軍事政権と距離を置こうと辞職。家族を養うため、職を求めミャワディに来た。
レストラン勤務を経て22年、高収入が見込める近郊シュエココの特殊詐欺組織に“就職”した。
組織でミャンマー人が担うのは、中国人幹部がリストアップした相手に、ひたすらメッセージを送る役割。相手が乗ってくれば専門的な担当者に引き継ぐ。(敬称略、ヤンゴン共同)