記者団の取材に応じる沖縄県の玉城デニー知事=28日午前、沖縄県庁

 27日投開票の沖縄県うるま市長選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する勢力「オール沖縄」が支援した新人が、自民、公明両党推薦の現職に敗れた。政治決戦となる夏の参院選に向け、オール沖縄内には危機感が広がる。「辺野古反対」の旗印にほころびが見え、革新勢力の分裂の懸念もくすぶる。

 「有権者の判断だ。真摯に受け止めたい」。うるま市長選から一夜明けた28日、沖縄県庁。玉城デニー知事は険しい表情を浮かべ、自身が応援した新人の落選について記者団に語った。

 近年、オール沖縄は退潮傾向が著しい。市長選の勝利は2021年の宮古島市長選が最後。この間、辺野古移設阻止に向けた軟弱地盤改良工事を巡る国との法廷闘争で県は敗訴を重ね、24年6月の県議選では知事派が半数を割り込む大敗を喫した。立憲民主党関係者は「『オール沖縄』という言葉に若者は忌避感がある」と嘆く。

 参院選の前哨戦となったうるま市長選では、有権者への受けを意識して基地負担軽減の訴えは抑え気味にした。