ミャンマーの大地震で被災者支援に当たった認定NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(広島県)の稲葉基高医師が28日、厚生労働省で記者会見し「政治的なことが緊急支援にも影を落としていた」と述べた。現地入りした地震発生約1週間後でも、外傷の治療すら十分にされていなかったといい、軍事政権下で支援が十分に届いていない状況を報告した。
地震は3月28日に発生。稲葉さんと看護師らは、入国の調整などに時間を要し、4月6日にようやく被害の大きかった北部ザガイン地域に入れた。倒壊した家の前にシートを敷くなどして路上で高齢者や子どもが生活しており「劣悪な環境に驚いた」と話す。
稲葉さんらは、寺院の敷地に診療テントを設営。内部は温度38度、湿度70%以上となり電気もなかったが、持ち込んだバッテリーや医療器具で約10日間に200人ほどを診療した。
現地の医療機関では十分な治療を受けられず、骨折した人や傷口が化膿した人もテントを訪れた。欧米の支援隊は見当たらず、中国やロシア、ASEAN加盟国が活動していたという。