欧州合同原子核研究所(CERN)の巨大加速器LHCで素粒子の実験をした国際チームが、米グーグル創業者ら設立の「ブレークスルー賞」に輝いたことを受け、実験の一つに参加した高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)が7日、記者会見を開いた。戸本誠KEK素粒子原子核研究所副所長は「研究者冥利に尽きる」と喜びを語った。
LHCは陽子と陽子を衝突させ、生まれた素粒子を測定する。衝突点に設置された大型検出器「アトラス」の実験ではKEKなど国内の13機関から約160人が参加した。ヒッグス粒子と質量との関連などが明らかになったという。
アトラスの日本共同代表を務めた戸本氏は「発見するだけでは面白くない。背後にある物理を追究するという、研究者が一番大事にしているところで成果が得られた」と話した。
LHCを用いた実験では2012年、国際チームが物質に質量を与えるヒッグス粒子の存在をほぼ確認したと発表。翌年、存在を提唱した英エディンバラ大名誉教授ピーター・ヒッグス氏(故人)がノーベル物理学賞を受賞した。