過去20年の児童数データを基に、子育て世代に人気のエリアやその要因を探る企画「児童数が増えている小学校はここだ!」の5回目は、各務原市です。人口、市町村内総生産ともに県内3位の各務原市には、「働く場」「交通の利便性」「大都市へのアクセス」など、子育て世代が流入しやすい条件がそろっています。また、山林が少なく、地形的な地域差も小さいように思われましたが、小学校ごとの児童数の増減には大きな違いが出ていました。その要因に迫ります。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
岐阜県が公表している毎年5月1日時点の公立小学校の児童数によると、最新である2024年度の各務原市の児童数は7443人。データ上、最も古い2005年度は8753人で、この20年で1310人、割合にして15%減少しました。
各務原市は県の大動脈である国道21号とJR高山線が東西に貫き、東端の鵜沼駅にはJR、名鉄の2線が乗り入れています。鵜沼駅から名古屋駅へは直通で40分。西に岐阜市、南に愛知県と接し、都市部へのアクセスは良好です。
また、製造品出荷額(2022年)は県内トップ。自動車や航空機など製造業の工場が集積し、働く場も豊富です。
これだけプラス要因が多いにも関わらず、市全体の児童数は二けたのマイナスとなりました。少子化がいかに深刻な状況であるかをうかがわせます。校区ごとにその背景を見てみましょう。
◆名古屋駅にも岐阜駅にも直結
まず、20年間で児童数が増加したのは全17校中5校。うち4校は、名古屋駅にも岐阜駅にも直結する鵜沼地域です。
増加率1位は鵜沼第三小の35%増。校区内の広大な工場跡地に住宅地が開発され、若い世代が転入しています。

鵜沼地域に割り込んで、増加率2位となったのは那加第一小の34%増。東海環状自動車道各務原インターや大型ショッピングモールに近く、岐阜市に隣接する好立地で、市街化区域の農地転用が進みました。

あらためて児童数の増減を地図上に示してみると、東の鵜沼地域、西端の那加第一小が増加。そのほかJR高山線と国道21号沿線の地域は減少したものの、減少幅は比較的小さくなっています。

一方、減少幅が30%以上の学校は、市の北部と南部に分かれて存在するようです。
減少幅が最も大きかったのは、尾崎小の66%減。次いで、緑苑小の64%減でした。両校の共通項は昭和後期に形成された大規模団地の存在です。これまでに見た岐阜市や可児市の団地と同様、一斉に入居した住民の世代交代が進まず、一時は学校が手狭になるほどにいた子どもたちが急減しています。

市南部の稲羽地域も児童の減少が激しいエリアです。稲羽東小は減少幅3番目の49%減で、緑苑小とともに小規模特認校に指定されています。
◆プラスにならない意外な要因は
各務原市の児童数の推移を取り巻く事情について、地元の不動産鑑定士・水野亨さんに話を伺いました。...