80年前の太平洋戦争末期、日米の激しい地上戦の舞台となり、悲しみの記憶が刻まれた島は、静かな祈りに包まれた。天皇、皇后両陛下が7日、戦没者の慰霊のため、硫黄島(東京都小笠原村)を訪問された。日本兵の遺族や強制疎開させられた島民の子孫らはその姿を見届けるために集まり、両陛下との懇談の場では「二度と戦地にならないように」などと、平和を願う気持ちを伝えた。
両陛下は慰霊碑などがある3カ所を車で巡り、日米合わせて3万人近くにも及ぶ戦没者を悼んだ。それぞれの場所には「硫黄島協会」や「硫黄島遺族会」などに属する日本兵の遺族、「硫黄島帰島促進協議会」などで活動する元島民の子孫らが待ち受け、拝礼する両陛下をそばで見守った。
その後、海上自衛隊の基地では、各団体の代表者8人と両陛下の懇談の機会が設けられた。両陛下は遺族らの話に耳を傾け、うなずきながら言葉を交わしていた。
帰島促進協議会会長の麻生憲司さん(61)は、祖父の代から続く会の活動を「引き継いでいこうという決心です」と同じ戦後世代の両陛下に伝えた。