全国の原発と30キロ圏

 原発事故で高齢者などが一時避難する放射線防護施設がある全国の原発周辺自治体の6割超が、耐震補強や増設などが必要だと考えていることが6日、分かった。全施設の3割の95施設は土砂災害などのリスクの高い区域に立地していることも判明。昨年1月の能登半島地震では一部が機能不全となり、自治体は事故と地震などが重なる複合災害に懸念を強めている。

 廃炉や建設中を除く全国15原発の30キロ圏で、防護施設がある18道府県、63市町村に共同通信がアンケートを実施。道府県によると、2024年末時点の施設数は計291カ所。気密性と気圧を高めて住民を被ばくから守るが、能登地震では北陸電力志賀原発(石川県志賀町、停止中)周辺で複数の防護施設が損傷。気密性などが損なわれた。同町によると、陽圧化装置に支障がなくても損傷で十分機能しなかった施設もあった。

 アンケートでは、52自治体(64%)が対策を「必要」「どちらかといえば必要」と答えた。島根県は「能登地震では水損による機器の故障も発生し、設備の補強が必要」と回答した。