10月に公開し、好評だった「岐阜市、児童が増えている小学校はここだ! 20年分のデータを分析」の第2弾。今回は県内人口第2位の大垣市を取り上げます。少子化傾向が色濃く映し出される中、ごく一部の学校で子どもの数が増えていたのは岐阜市と同じ。でも、その背景を探ってみると、立地や産業に由来した大垣市ならではの事情が見えてきました。岐阜市との違いに注目しながら、大垣市の子育て世代に人気のエリアとその訳を探ります。
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岐阜県が毎年公表しているデータによると、大垣市の2024年5月時点の児童数は7896人。確認できる中で最も古い2005年の9527人(合併前の旧墨俣町、上石津町の児童数を含む)と比べ、17.1%減少しています。
市内には19の小学校(義務教育学校を含む)があり、そのうち15校で05年比の児童数が減少しました。ほぼ半数になった学校もあります。一方で、4校はプラスとなり、増加率が10%に達した学校も。顕著に見える少子化傾向も、市内一律とは言えない状況です。

学校ごとの増減率を地図上に示してみました。すると、プラスの学校が北東部に集中していることが分かります。また、JR大垣駅や市役所周辺の市街地は比較的減少幅が小さく、西部、南部寄りの学校が大きく減らしているようです。
◆増加率トップは編入合併の小学校
学校ごとに見てみましょう。今回、増加率のトップは墨俣小の10%増、最も減少したのは上石津学園の51%減でした。地図からも分かりますが、この2校はいずれも2006年に大垣市へ飛び地で編入合併した地域にあります。子どもの数だけを見れば、合併後、真逆の推移をたどったことになります。

墨俣小のある旧墨俣町は合併前、日本で一番面積の小さい市町村でした。それだけに、24年現在の児童数も251人と決して多くはありません。ただ、05年の229人から22人増え、増加率では1位となりました。岐阜市と大垣市のちょうど中間に位置し、名古屋駅に直結するJR穂積駅にアクセスが容易といった地理上のメリットに対し、地価が比較的安いことが、若い世代の流入につながっているようです。近年、瑞穂市と隣接する一帯に分譲住宅地が開発され、その受け皿となっています。

上石津学園は24年4月、旧上石津町内の4小学校と上石津中学校が統合した義務教育学校としてスタートを切ったばかり。清流の両脇に里山が広がるのどかな地域ですが、児童数はこの20年で半減し、各校で複式学級が増えたことなどから統合にいたりました。改修されたきれいな校舎で、縦割り活動や教科担任制など小中一貫を生かした教育を進めています。
◆一戸建て志向とマイカー利用
旧大垣市域へ目を移しましょう。今回、増加率2位となったのは西小の5%増。小野小が4%増、中川小が2%増と続きます。特に、小野小は2015年ごろから増加に転じ、この10年の伸び率は11.7%と目立ちます。3校がいずれも市の中心街から1.5~2キロほど離れた場所に位置しているのも特徴的です。

大垣市に事務所を構える不動産鑑定士の杉山淳さん(51)に、児童数増減の背景にある住宅事情を聞きました。ポイントとして初めに挙げられたのは「一戸建て志向とマイカー利用」です。...