学校ごとの児童数の20年間の推移から、地域の横顔や若い世代の住宅志向を読み解く企画の第4弾。今回は可児市です。前回取り上げた美濃加茂市とは隣り合い、両市を中心とした地域を「可茂地区」と総称することもあるなど、深い関係にあります。似た点も多い両市ですが、児童数のデータを見ると、県内市町村で増加率がトップだった美濃加茂市とは異なる可児市独自の状況もあらわになりました。児童が増える小学校と減る小学校の二極化が進んでいるのです。(岐阜新聞デジタル独自記事です)
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県がまとめた県内公立小学校の毎年5月1日時点の児童数によると、可児市の2024年の総児童数は5185人。データ上、最も古い2005年は5803人で、この20年間で618人(11%)減少しました。全体の結果だけ見ると、9%増加の美濃加茂市とは大きな差が出ています。
ただ、学校ごとの数値に目を向けると、11校中5校は増加しており、二けたの伸びを見せている学校もあります。地図上に示してみると、主に美濃加茂市との境を流れる木曽川沿いの地域で伸び率が高くなっていることが分かります。

一方で、減少した6校はいずれも30%を超えるマイナス幅となりました。南部、東部に位置する学校が多いようです。
児童数の増減がはっきりと二分された背景には何があるのでしょうか。
◆最も増えたのは土田小学校
増加率が最も高かったのは土田小の33%でした。この学校の特徴の一つは外国人児童の多さです。市は学校ごとの外国人児童の数を公表しており、2023年時点で土田小には153人の外国人児童が在籍しています。この年の全校児童に占める割合は29%に上りました。

2005年には38人だった外国人児童は、2023年までに115人増えました。日本人も含めた増加数は123人ですから、そのほとんどを外国人児童が占めていることになります。
外国人児童の増加は土田小だけではありません。増加率3位の今渡北小(15%増)には2023年時点で外国人児童214人が在籍し、2005年から152人増えています。同4位の今渡南小(8%増)には75人が在籍、増加数は71人と、全校児童数の伸びが大きい学校で外国人児童の増加が見られます。
実は、ここで挙げた土田、今渡北、今渡南の3校の中学校区はいずれも蘇南中です。蘇南中の2024年の生徒数は993人で、県内一のマンモス校となっています。可児市全体では児童数が減少する中、一部地域で集中的に増えている状況がうかがえます。

増加率2位(29%増)の帷子小校区には名鉄西可児駅があり、国道41号が通るなど交通アクセスの良さから、愛知県への通勤者にも人気の高いエリアです。また、県内最大規模の可児工業団地にも近く、まとまった住宅開発もありました。
可児市の事情に詳しい不動産鑑定士の久保輝さんは「名古屋のベッドタウンというイメージのあった可児市ですが、調べてみると、...