陸上自衛隊の輸送機V22オスプレイの佐賀空港配備に向けた駐屯地建設工事で、土地の所有権が侵害されているとして、ノリ漁師らが工事差し止めを求めた仮処分の申し立てに関し、福岡高裁(久留島群一裁判長)は31日、差し止めを認めない決定を出した。佐賀地裁は昨年3月、申し立てを退け、申立人側が即時抗告していた。
2023年5月、地元漁協の組合員らでつくり土地の管理や運営を行う協議会は、臨時総会で3分の2以上の賛成を得たとして国への売却を決定。防衛省は、土地名義人だった漁協と売買契約を結び、同6月に着工した。
申立人側は土地は組合員らが共有し、売却には全員の合意が必要だと主張したが、地裁決定は「個々の漁業者が土地の共有持ち分権を取得したことが疎明されているとは言えない」と退けた。
オスプレイは今年7月を期限に、木更津駐屯地(千葉県)に暫定配備中で、新駐屯地には17機を配備する計画だ。申立人側は工事差し止めを求めた訴訟も起こしており、佐賀地裁で係争中。