北海道釧路市の鶴間秀典市長(右手前)に要望書を手渡す市民団体の代表ら=28日午後、釧路市役所

 希少生物が生息する北海道の釧路湿原周辺で進む大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設計画について、釧路市の市民団体と猛禽類医学研究所は28日、即時中止を求める要望書を市と市教育委員会に提出した。湿原に営巣する国の天然記念物オジロワシの繁殖に影響することが懸念されているためで、市教委は事業者に立ち入り禁止を通告し、事業者側の対応が注目されている。

 国立公園でラムサール条約登録湿地でもある釧路湿原は、平たんで日照量も多く、周辺で太陽光パネルの設置が相次ぎ、特別天然記念物タンチョウや絶滅危惧種のキタサンショウウオなどへの影響が危惧されている。市は太陽光発電施設の建設を許可制とする条例の制定を目指している。

 事業の即時中止やオジロワシ営巣地の開発規制などを求めた要望書を受け取った鶴間秀典市長は「思いは要望書の趣旨と同じだ」と述べ、条例制定に前向きに取り組む考えを示した。

 市教委は3〜4月、メガソーラー建設を計画する「日本エコロジー」(大阪市)に、文化財保護法に基づき9月までの立ち入り禁止を通告した。