連立政権樹立で合意し記者会見したメルツ氏(左から2人目)ら=9日、ドイツ・ベルリン(ゲッティ=共同)

 【パリ共同】2月のドイツ連邦議会(下院)選挙で第1党となった保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と第3党の中道左派、社会民主党(SPD)の連立政権樹立合意から16日で1週間。減税政策やウクライナ支援などを巡り早くも両党が対立、不協和音が生じている。5月に新首相に選任見通しのメルツ氏は試練を迎えている。

 政治メディア、ポリティコによると、メルツ氏は合意後にドイツ公共放送ARDの番組で、SPDの主要な公約である低・中所得者への所得税減税について「守れない約束はしない」と述べた。

 だが9日発表の連立協定書案にはこの措置が含まれ、SPDは「明確な合意事項だ」と反発。メルツ氏が強調する移民政策の厳格化方針についても、SPDの若手らに反対論がくすぶる。

 ウクライナ侵攻でロシアへの強硬姿勢が目立つメルツ氏は合意後も、持論である自国産の長射程巡航ミサイル「タウルス」のウクライナへの供与方針を表明。だが供与を拒否してきたSPDのショルツ首相の政策と対立、SPDが支持に回るかどうかは不透明だ。