神戸市北区にある神戸山口組の井上邦雄組長宅について、神戸地裁が1月下旬に強制競売の手続きを開始し、土地と建物を差し押さえたことが16日分かった。組長は元傘下組員のトラブルを巡る民事訴訟で暴力団対策法に基づく代表者責任を問われ、大阪高裁が約2億7千万円の損害賠償を命じている。判決確定後に支払いがなければ強制退去の可能性がある。
強制競売は組長らに賠償を求めた東京のコンサルティング会社側が申し立てた。組長側は手続きの根拠となる昨年12月の高裁判決を不服として上告受理を申し立てている。組長宅はたびたび襲撃対象となっており、退去の場合、対立してきた山口組との抗争に影響するかどうか県警が注視している。
一、二審判決によるとコンサル会社代表は2020年7月、金融ブローカーから「債務を代わりに弁済すれば、資産家が10億円融資する」との趣旨の説明を受けた。資産家として紹介された男の指示に従い2億5千万円を送金したが融資はなく、男は組織の存在に言及し「何か文句があるのか」と返金を拒否した。