事業者に義務付ける熱中症対策のポイント

 厚生労働省は15日、熱中症対策を罰則付きで事業者の義務とする改正省令を公布した。施行は6月1日。職場での熱中症による死者が絶えず、同省の死亡事例分析では発見の遅れ、異常時の対応の不備が目立った。義務化には、初期症状の早期発見や、重症化を防ぐための対応を促す狙いがある。

 厚労省によると、暑さ指数28以上または気温31度以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が対象となる。事業者が対策を怠った場合、6月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。

 義務化の内容は(1)熱中症の自覚症状や疑いのある人がいた場合、報告するための連絡先や担当者を事業所ごとに定める(2)作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の処置や診察など症状の悪化防止に必要な内容や手順を事業所ごとに定める(3)対策の内容を労働者に周知する―が柱だ。

 厚労省の労働政策審議会の分科会が3月に了承していた。今後、同省は職場における熱中症予防策を議論する有識者検討会を立ち上げる方針だ。