【ジュネーブ共同】感染症の世界的大流行(パンデミック)の予防や対応を定めた新たな国際ルール「パンデミック条約」を巡り、世界保健機関(WHO)加盟国の交渉で「大きな進展」があった。交渉関係者が12日、明らかにした。加盟国は5月に開かれる総会での採択を目指し、15日に再び交渉会合を開いて条約案の細部を詰める。

 交渉はジュネーブで7日に開始。11日に終了予定だったが、12日朝まで続いた。ただ条約の中身では、ワクチン開発の技術移転や、製造されたワクチンの一定割合をWHOに無償または廉価で提供するとした仕組みについて、先進国側と途上国側の主張になお隔たりが残っている。

 米国はトランプ政権下でWHOからの脱退を表明し、交渉に代表団を送っていない。米国抜きで交渉は進んでおり、総会でも米国抜きで採択は可能だ。

 パンデミック条約は、コロナ禍での大きな被害やワクチン囲い込みといった混乱を教訓として、WHOが新設を目指す枠組み。感染症が次に流行した際の協力態勢などを規定し、2022年2月に交渉が始まった。