名古屋大などの研究チームは、イネなどの被子植物の種子になる部分に栄養を運んだり阻んだりするゲートのような役割をする組織を発見したと7日付の米科学誌に発表した。植物の新組織発見は160年ぶりとしている。コメなどを肥大させることにも成功し、笠原竜四郎特任准教授(植物生殖学)は「種子を大きく育てる技術開発に生かせる」と期待している。
チームは、イネやシロイヌナズナの実験で、受精して種子になる部分の「胚珠」が受精に失敗すると、「カロース」というのりのような物質が胚珠につながる管などに蓄積して栄養分を供給できなくなることを確認。一方、受精するとカロースが溶け、栄養分が胚珠に送られるようになった。
受精に成功した植物の胚珠で機能するカロース関連遺伝子を調べると、受精した時のみ発現が上昇する遺伝子がカロースの分解を促している可能性があることが分かった。ゲノム編集でこの遺伝子を過剰に発現させたイネは胚珠に多くの栄養が送られ、野生型よりも9%大きな種子になった。