廃校を活用した複合商業施設「KITO」=奈良県下市町
 廃校を活用した複合商業施設「KITO」の店内=奈良県下市町

 雑貨店ブランド「3COINS(スリーコインズ)」などを全国で展開するアパレル企業パル(大阪市)が過疎地の地方創生に乗り出した。人口減少が深刻な奈良県下市町で昨年7月、廃校を活用した複合商業施設をオープン。プロジェクトマネジャーの井上真央さん(29)は「町内外の人が立ち寄る拠点にしたい」と話す。

 下市町は山岳信仰の聖地である吉野山の玄関口として栄えたが、近年は人口減少が加速。1980年は1万1千人超だったが、今年2月時点で約4300人に。民間団体が昨年公表した報告書でも「消滅可能性自治体」とされた。

 パルが地方創生プロジェクトを始めたのは「全国的に小売りをする企業だから生かせることがあるのでは」(井上さん)との思いからで、創業者が生まれた下市町を出発点に定めた。「家族が帰省しても行く場所がない」などとする住民の声を受け、たどり着いたのが複合商業施設だった。

 施設名は「KITO」。林業が盛んな土地柄から「木と共に、きっと出会える」をコンセプトにした。