NATOのルッテ事務総長(左手前から3人目)と会談する石破首相(右手前から3人目)=9日午後、首相官邸

 石破茂首相は9日、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と官邸で会談し、欧州・大西洋とインド太平洋での安全保障連携を深化させる方針で一致した。会談後、共同声明を発表し、軍民両面で利用可能な「デュアルユース」技術開発を含めた防衛産業分野の協力加速を明記した。ドローンや人工知能(AI)、バイオ分野などを想定している。

 首相は共同記者発表で「強固なNATOの存在は日本にとって大きな利益だ。インド太平洋へのNATOのさらなる関与を歓迎する」と述べた。ルッテ氏は、中国が大規模な軍備増強を進め、重要技術のサプライチェーン(供給網)を支配しようとしていると指摘し「インド太平洋地域を不安定化させる活動を続けている」と批判した。

 共同声明では、ロシアの侵攻を受けるウクライナに関し、包括的で、公正かつ永続的な平和を達成するための外交努力が重要だと確認。ルッテ氏は、軍事訓練の実施や装備供給などを調整するNATOの対ウクライナ支援組織について日本の参加意欲を歓迎すると記述した。