1978年度の「厚生省報告例(現・福祉行政報告例)」の複写。精神疾患の療養費受給者は入院している人、していない人を合わせて最大1107人いた

 日中戦争や太平洋戦争が原因で精神疾患を発症した日本の旧軍人・軍属に対し、国が支給してきた療養費の最後の対象者が2021年に島根県内で死去していたことが2日、厚生労働省や県の記録で分かった。支給対象を定めた戦傷病者特別援護法が1963年に制定されて以降、療養費の受給者はピーク時に約1100人いたが、全員が世を去ったことになる。

 過酷な戦場下で生じた精神疾患は「戦争トラウマ」「戦争神経症」と呼ばれ、戦後80年を前に国は調査を進めている。ただ実際に戦地へ赴いた「生き証人」が亡くなり、戦争と心の問題の実態把握が難しくなっているのが現状だ。

 国の統計「福祉行政報告例」によると、精神疾患の療養費受給者は医療機関に入院している人、していない人を合わせ78年度に最大1107人いた。戦後50年の95年度は444人、2005年度117人、15年度11人だった。

 島根県によると、最後の1人は入院しておらず、21年1月に県内で死去した。県は性別や死因について「個人情報に該当する」として明らかにしていない。