フジテレビで行われた第三者委員会の記者会見=31日午後、東京都港区

 「芸能界の大御所の誘いは断れなかった」。31日に公表されたフジテレビの第三者委員会による調査報告書で、女性アナウンサーは元タレント中居正広氏との圧倒的な力関係の下で食事の誘いに応じ、性被害に遭った過程が明らかになった。フジ側はこうした心情に寄り添えず、女性はさらに追い詰められていった。

 報告書によると、女性と中居氏は2023年5月に中居氏のマンションでのバーベキューで同席。2日後、中居氏は当初、複数人での会食であるかのように装って女性を誘った上で「メンバー見つからずです。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど」などと2人きりになることを要望した。さらに「この間の(マンション)なら、安心かも」と提案。女性は「芸能界の大御所で、行かざるを得ない。断ったら(ベテラン社員に)伝わり、番組に呼ばれなくなるのではないか」と不安を抱き、マンションへ向かったと証言している。

 一方、性暴力の報告を受けたフジの幹部らは「立場上断れなかったとは思わなかった」。被害を「男女間のトラブル」と捉えた。