レバノン南部、イスラエルとの国境に近いヒヤームで、イスラエル軍の攻撃後に立ち上る煙=28日(ロイター=共同)

 【エルサレム共同】イスラエル軍は28日、レバノンの首都ベイルート南部を空爆した。ベイルートへの空爆は、昨年11月に親イラン民兵組織ヒズボラを巡る停戦合意が発効して以降初めて。イスラエル軍が18日にパレスチナ自治区ガザへの大規模攻撃を再開して以降、地域の緊張は再び高まっている。停戦を仲介したフランスのマクロン大統領は「合意違反で裏切りだ」と空爆を非難した。

 マクロン氏はパリを訪問したレバノンのアウン大統領と会談。アウン氏も「レバノンを暴力の連鎖に引き戻そうとする試みだ」と批判した。

 イスラエル軍はベイルートにあるヒズボラの無人機の保管施設を攻撃したと主張した。空爆に先立ち、レバノンからロケット弾が飛来し、迎撃したと発表。レバノン南部を攻撃し、その後ヒズボラの拠点があるベイルート南部の一部地域に退避通告を出した。

 ベイルート南部はヒズボラの影響力が強く、昨年9月以降、イスラエル軍が大規模空爆を実施。停戦発効までに多数の住宅が破壊されるなど大きな被害があった。28日の退避通告直後は住民が避難を始め、混乱が広がった。