創部101年目の名門の窮地を救ったのは、投打2人のヒーローだった。春季岐阜県高校野球大会岐阜地区大会は30日、大野レインボーで決勝を行い、県岐阜商が長良に4―2で逆転勝ちした。準決勝の岐阜戦に続いてリリーフした1年生右腕柴田蒼亮が六回から無失点の力投、最終回に昨夏から主軸の駒瀬陽尊が勝ち越しの2点打を放ち、地区1位へいざなった。熱戦をリポートする。(岐阜新聞デジタル独自記事です)

長良×県岐阜商=9回表県岐阜商1死満塁、3番駒瀬陽尊が勝ち越しの2点適時打を放つ=大野レインボー

 ◆誤算続きの苦境、打線も長良土屋をとらえ切れない

 思わぬ苦戦だった。誤算の始まりは、新チームのエースとして期待されながら、けがに泣き、満を持して復帰登板した2年生右腕今津翔太のまさかの乱調。先頭を四球出塁させると、3球連続の暴投で先制点を献上。「きのうまでのブルペンですごく調子がよかった。なぜ、こうなったのかわからない」と藤井潤作監督も首をかしげる想定外の事態だった。

 マウンドを引き継いだのは、1993年夏の甲子園に出場した東濃実のエース小西智也さんの次男で、県岐阜商2022年のダブルエースの一人だった彩翔の弟・勇颯。無失点の好投で、三回表の4番坂口路歩の内野ゴロの間の同点を呼び込むが、四回裏にアクシデントが襲う。...