生成AIを使った治験文書作成の研究を発表する国立がん研究センター中央病院の中村健一・国際開発部門長=24日午前、厚労省

 国立がん研究センターは24日、新薬の臨床試験(治験)報告書の下書きに生成人工知能(AI)を取り入れると所要時間が劇的に減り、作成した119件のうち8割は人が少し修正するだけで完成版になったとの研究結果を発表した。手続きの効率化で、患者に薬が届くまでの期間が短縮できるという。

 同センター中央病院の中村健一・国際開発部門長は「参加する患者にとって分かりやすい説明文書の作成にも活用できそうだ」と語った。

 従来は報告書の作成を専門ライターに外注しており、入札から製薬企業や規制当局に提出するまで半年、費用も1件約500万円かかっていた。

 AI翻訳を手がける「ロゼッタ」(東京)と昨年4月から実施した研究では、治験の計画書とデータの解析結果を入力すると自動で章立てをしながら報告書をつくるAIソフトを開発。作成期間は数日に縮まり、完成度を評価すると「ほぼそのまま利用可能」が5割、「微修正で利用可能」が3割となった。

 今後は患者向けの説明文書や計画書なども作れるようにする方針だ。