漁港に水揚げされたワカメ=26日午前、岩手県大船渡市三陸町綾里
 大規模山林火災で被害を受けた岩手県大船渡市三陸町綾里=26日午前

 平成以降で国内最大の面積を焼失した岩手県大船渡市の山林火災は26日、発生から1カ月となった。発生12日目に延焼拡大の恐れがなくなり鎮圧が発表されたが、鎮火には至っていない。住宅被害は100棟を超え、被害が大きい地区ではがれきが散乱。骨組みだけの建物も目立つものの、漁港では、地域の主産業である養殖ワカメの収穫に取り組む漁師たちの姿が戻ってきた。

 住宅30棟以上が焼損した同市赤崎町外口地区。自宅を失った住民の多くは避難所や親戚宅などに身を寄せているとみられ、人影はほとんどない。家の跡地にはがれきが積まれ、焼け焦げた軽トラックが放置されていた。

 市内の綾里漁港では、朝から漁師たちが慣れた手つきで収穫したばかりのワカメを加工していた。大きな釜から白い湯気が立ちのぼり、潮の香りが広がる。褐色のワカメを湯にくぐらせると鮮やかな緑色に変わり、手際よく水で冷やして袋に詰めていた。

 同市三陸町綾里石浜の漁師山下聖人さん(36)によると、火災の影響で収穫開始は例年より約2週間遅れた。