岐阜新聞の紙面を教材に活用し、社員も議論に加わる出前授業が12日、岐阜県山県市高富の高富小学校で行われた。6年2組の児童が、AI(人工知能)を使った記事の意図やメディアの役割、正しい情報の受け取り方について考えた。
使われたのは1月3日の特集、AI武将が岐阜の未来を語る「バーチャル座談会」。事前に記事を読んだ児童から出た疑問「なぜ実在の人物ではなく、AI武将に未来を語り合わせるのか」をテーマに、6グループに分かれて話し合った。各グループには、岐阜新聞社教育アドバイザーの須本良夫岐阜大教授や杉山涼子社主、社員らが加わった。
児童からは「戦国武将のAIという設定にインパクトがあり、興味をひかせるため」「実在の人だと現実的な話になりがちだが、AI武将だと過去の価値観を反映しながら斬新な考えが生まれる」などの意見が出た。一方で「記者不足でAI活用が進んでいるのでは」との指摘も。「AIが人をサポートする社会」について考えるきっかけづくりだったとも考察した。
信用性にも議論は及び、あるグループは「AIが間違っていたら責任は誰にあるのか。依頼した発信者であり、読む人の場合もある」と問題提起。別のグループは「正確な情報を発信するのはもちろん、受け取る人もうのみにするのではなく、正しいかどうかを気を付けながら読む必要がある」とまとめた。
最後に、国本真志登・岐阜新聞社デジタル経営企画室長が「新聞の役割は、事実を言葉で記録して残していくこと。世の中でAIの活用が進む中で事実って何なのか。まさに、きょう話し合ったようなことを考えてもらうための紙面だった」と語った。
岐阜新聞社では、記事アーカイブを教育教材として提供し、授業にも参画するプロジェクトを進めており、今回は第1弾となった。
(田代理加)