尼崎JR脱線事故の発生時刻に合わせ、現場付近で黙とうする人たち=25日午前9時18分、兵庫県尼崎市
 尼崎JR脱線事故の現場にある「祈りの杜」で献花し、一礼するJR西日本の役員ら=25日午前、兵庫県尼崎市(代表撮影)

 乗客106人と運転士1人が死亡、562人が重軽傷を負った2005年の尼崎JR脱線事故は、25日で発生から20年となった。JR西日本は兵庫県尼崎市の事故現場に整備した「祈りの杜」で追悼慰霊式を開催し、長谷川一明社長は「事故を風化させないことの重要性を心に刻み、教訓を継承してまいります」と述べた。

 JR西は全社員約2万5千人のうち、事故後に入社した社員が7割を超えた。JR史上最悪の大惨事となった事故の教訓や経験をどう継承し、再発防止へ向け安全対策を徹底していくかが課題となっている。

 事故発生時刻の午前9時18分にJR西の役員が、電車がマンションに衝突した現場に向かって黙とうした。慰霊式で長谷川社長は「あの日私どもが事故を起こさなければ、夢や希望に満ちた人生を送っていたでしょう。突然命を奪われた悔しい思いを思うと、ただただおわびを申し上げるしかありません」と述べ、慰霊碑の前で深くお辞儀した。

 中野洋昌国土交通相は25日の閣議後記者会見で「全力を挙げて鉄道輸送の安全安心の確保に取り組む」と述べた。