石破政権は、新たな経済対策を念頭に置いた2025年度補正予算案の今国会提出を見送る方針を固めた。これに伴い、参院選前の国民一律の現金給付も行わない方向となった。与党幹部が16日明らかにした。世論のばらまき批判を考慮し、当面は25年度予算に盛り込んだ物価高対策の効果を見極める。与党で検討中の夏場の電気・ガス代補助やガソリン価格引き下げは、予備費を財源に活用する方針だ。一方、野党は補正を巡る政権の迷走ぶりを「統治不全」だと非難した。
政府高官は16日、報道各社の世論調査で評価の低かった現金給付案について「世論に響かない対策を打っても意味がない」と否定的な考えを示した。公明党の岡本三成政調会長は記者会見で、党内で賛否が割れているとして「必ず必要だと政府に強く求める段階ではない」と述べた。
24年度補正予算には、住民税が課税されない低所得世帯に3万円の給付金を配る施策が既に盛り込まれている。
政権内では、米国の関税対策も含め大型の経済対策を打つために補正予算を検討する動きがあった。