秋田県能代市の港湾区域内に設置された洋上風力施設(能代市提供)

 秋田県沖で計画が進む洋上風力発電の8事業が、同県内に3560億円の経済効果をもたらし、3万4千人の雇用を生み出せるとの報告書を、イー・アール・エム日本(横浜市)がまとめたことが16日分かった。県内企業が資機材や人材などの供給力を高める投資を促せば、経済効果、雇用創出とも1・5倍以上に伸ばせると予想した。

 同社は英コンサルティング大手ERMの日本法人。全8事業を対象とした試算は初めてという。

 報告書によると、経済効果は事業化に向けた漁業への影響や気象、風況といった調査を秋田県の企業が受注することなどで1664億円、風車の設置や陸上工事といった建設関連で932億円と算出した。ほかに商業や不動産などへの波及を見込んだ。

 経済効果と雇用の拡大には、現地企業が洋上風力の運転と保守業務へ参入する機会が重要だと提言。近隣県の企業との連携がサプライチェーン(供給網)の強化につながると指摘した。

 潜在的な経済効果は最大で約5700億円、雇用数も約5万2千人に上ると推計している。