江戸時代後期に堺の芝辻保敬が製作したとみられる筆ペン「自潤筆」が「鉄炮鍛冶屋敷」(堺市)で展示されている。21日まで。筆の取扱説明書もあり、筆の構造図のほか、「困った時」の対処法も記すなど親切な内容だ。芝辻家は鉄砲鍛冶として知られる。
筆は長さ約15センチで真ちゅう製。末尾部分を外して綿と墨を入れる。筆先にもねじ式のキャップが付いており、筆を携帯していても筆先で汚れない構造で、筆先の交換もできる。
取説は「御殿の中、馬上でも墨を付ける必要はなく、日数がたっても乾きません」と利点を説明し「墨が減った時は」「太く書く時は」「毛先が悪くなった時は」などと困った時の対処法も記していたが、製作者などは書かれていなかった。
自潤筆は、堺の鉄砲鍛冶として知られた井上家の所蔵品で初公開。古文書も約2万点残されており、市がこれらの資料を調査する過程で、同じ筆と取説の所有者がいることが判明。その取説には「堺浦 芝辻保敬製」と記されていたことから、製作地などを推定した。