福島地裁=2023年

 東京電力福島第1原発事故で被災した酪農家らが設立した福島市の復興牧場フェリスラテで、死産した子牛を敷地内に埋めたとして廃棄物処理法違反(不法投棄)の罪に問われた元社長田中一正被告(54)と元役員長谷川義宗被告(46)に、福島地裁は7日、それぞれ懲役1年、執行猶予3年、罰金100万円(求刑懲役1年、罰金100万円)の判決を言い渡した。法人としての同社には求刑通り罰金200万円。

 判決理由で島田環裁判官は「大量の死骸を不法投棄し、周囲の生活環境を害した程度は大きい」と指摘。被告らは個体識別番号が付与される前の牛の死骸は産業廃棄物に当たらないと思ったと主張したが、「酪農に相当期間従事し、違法性の意識があったと推定される」と退けた。一方で役員を辞した情状を酌量した。

 判決によると、2人は共謀し2020年1月〜23年6月、牧場で死産した約140頭の子牛(計約1440キロ)について、産業廃棄物として処理するべきだったのに敷地内に埋めた。