政府は1日、災害に強い国づくりを目指す国土強靱化の次期計画素案を公表した。2026〜30年度が対象で、事業規模は20兆円強。21〜25年度の現行計画は約15兆円で、対策加速や物価高に伴う工事費上昇のため大幅に積み増す。南海トラフ巨大地震や豪雨災害に備えるほか、下水道管腐食が原因とされる埼玉県八潮市の道路陥没などを受けインフラ老朽化対策を急ぐ。6月をめどに正式決定する。
石破茂首相は、官邸で開いた国土強靱化推進本部の会合で「インフラ老朽化への不安が高まり、南海トラフ巨大地震も大きな被害が想定されている。被害軽減のために着実に推進していかなければならない」と述べた。
素案は、期間内に実施する約320の施策を列挙。3月31日公表の新たな被害想定で死者が最大29万8千人とされた南海トラフ巨大地震や、首都直下地震などの対策推進、豪雨災害への対応、避難所環境の改善に重点的に取り組む。
個別の数値目標も打ち出した。能登半島地震を教訓に、避難所などに接続する上下水道の耐震化率は23年度の15%から30年度に34%へ引き上げ、54年度に完了させる。