トヨタ自動車の旗=愛知県豊田市

 トヨタ自動車が、4月3日に迫るトランプ米政権による輸入自動車への25%の追加関税発動後も、米国で販売する車両を当面値上げしない方針であることが31日、分かった。追加関税分を直ちに価格に転嫁すれば、消費者の買い控えなどによる売り上げへの打撃が大きいと判断した。価格を維持しつつ、日米政府の交渉の行方や販売への影響を見極める構えだ。

 追加関税によるコスト上昇分は、原価低減などによって吸収する。日本国内の生産台数や雇用も減らさず、仕入れ先の部品メーカーなどからの調達量や価格も維持するとみられる。

 トランプ氏が自動車関税を強化する背景には、製造業の生産や雇用を米国内に誘導する狙いがあり、部品メーカーからは国内の生産縮小を懸念する声が上がっていた。トヨタは、国内の雇用への悪影響を最小限に抑えたい考えだ。

 高関税が課される期間が長引けば、価格維持が困難になることも予想される。トヨタ幹部は「関税が上がるからすぐに販売価格を変えるとの発想はないが、25%になると原価低減の努力にも限界がある」と説明した。