政府は前回の被害想定の後、2014年3月に南海トラフ巨大地震の防災対策推進基本計画を決定し、死者数を10年間で8割、全壊棟数を5割減らすための各分野の取り組み目標を定めた。ただ最新の数字を見ると、住宅の耐震化や、密集市街地の解消など、人命に直接関わる分野で未達成が目立った。
住宅の耐震化率は全国で08年の79%から上昇し、23年は90%。しかし25年までに耐震性が不十分な住宅をおおむねなくす目標は達成できる見込みがなく、30年までの先送りを余儀なくされた。
家具の固定化も23年度の65%目標に対し、22年は36%と低い水準だ。
火災の危険性が高まる密集市街地の解消は20年度に100%を目指したが、24年3月で61%にとどまる。
政府作業部会の報告書は、住宅耐震化率、家具の固定化率がそれぞれ100%になれば、全壊棟数と家具の転倒・落下物による死者数をいずれも7割減らせるとした。
災害拠点病院の耐震化や緊急消防援助隊の増員、土地の液状化リスクのマップ公表は進んだ。