東京国税局が昨年、法人税の脱税事件に絡み、東京都中央区のマンション「晴海フラッグ」の6物件を差し押さえていたことが26日、関係者への取材で分かった。東京地検に逮捕、起訴され、一審で有罪判決を受けた中国籍の男性(47)が代表の貿易会社が所有していた。晴海フラッグは、東京五輪・パラリンピックの選手村を再整備した巨大マンション群として知られる。
国税局が実施したのは、財産の散逸を防ぐために税額が確定する前に差し押さえる「保全差し押さえ」という手法で、実施は異例。貿易会社には一審判決で認定された約2億2千万円の脱税額を含めた8億円超の納税義務があったとみられ、差し押さえは徴収後に解除された。保全差し押さえの実施が徴収につながったもようだ。
同社に取材を申し込んだが25日までに回答はなかった。
関係者によると、貿易会社は新型コロナワクチン用の注射器を中国から輸入していた「信彦佳景」(東京)で、東京地検特捜部が昨年6月、注射器の仕入れ高を水増しし法人税約2億2千万円を脱税したとして男性を逮捕。男性は東京地裁で懲役2年、執行猶予4年の判決を受けた。