戸籍上は男性で、妻と既婚のまま女性への性別変更を家事審判で求めたトランスジェンダーの50代の申立人=京都市=は26日、申し立てを却下した京都家裁決定を受け、市内で記者会見を開いた。性同一性障害特例法は性別変更に婚姻していないこと(非婚要件)を必要としており、「離婚したくない人がいきなり『離婚しろ』と言われることの問題を軽く見過ぎているのではないか」と訴えた。
申立人は非婚要件は憲法違反として、既婚でも性別変更を認めるよう主張。性自認に従った性別の取り扱いを受けるか、婚姻関係を維持するかの二者択一を迫られる状況を「法的利益を制約する」と家裁が指摘したにもかかわらず、却下したのは「おかしい」と批判した。
同席した妻も「離婚を常に考えないといけない現状は変わらない。苦しいが前に進むしかない」と声を振り絞った。
家裁が19日に出した決定は、非婚要件は同性婚を認めていない現行法の整合性を担保するためとし「直ちに憲法に反して無効と解せない」と判断。申立人は即時抗告する方針を示している。