作家の九段理江さんが、AIを使って執筆した短編小説が掲載された雑誌

 作家の九段理江さん(34)が、「95%を人工知能(AI)で書いた」とうたう短編小説を25日発売の雑誌「広告」に発表した。九段さんは昨年の芥川賞受賞作「東京都同情塔」について「全体の5%くらいは生成AIの文章を使っている」と述べて注目された経緯があり、同誌を刊行する広告会社博報堂が依頼した。

 「影の雨」と題した小説は計3ページ、AIの「私」が人間の感情の起源やその意味について考える内容。テーマは対話型AI「チャットGPT」が提案したという。九段さんは最初と最後の一文を書いて作品の方向性を示し、執筆の多くはAIに委ねた。

 執筆名義は、AIとの対話の中で決めた愛称「CraiQ」との共作とした。九段さんとAIとのやりとりを記録した「プロンプト」の一部も誌面に公開している。

 九段さんは取材に対し、AI自身のために執筆するようAIに促したものの、そうはならなかったと説明。「創作の欲求は人間ならではのものだと改めて考える機会になった」と話している。