精子が正常に形成されるためにはタンパク質同士が結合した複合体が必要で、欠いた場合は異常が起こることをマウスで突き止めたと、大阪大のチームが26日までに米科学誌に発表した。複合体がないと精子は頭部の根元が折れ曲がり受精できないため、タンパク質の働きを阻害することで男性用経口避妊薬が期待できるという。
チームによると、日本では年間約10万件の人工妊娠中絶が行われている。女性用には経口避妊薬があるが、男性用の開発は成功していない。
精子は頭部に細長いしっぽがついたような形をしている。チームがマウスのさまざまな遺伝子を操作したところ、Tex38という遺伝子を欠損させると子どもが生まれず、精子頭部の根元が折れ曲がったようになると分かった。
Tex38を基に作られたタンパク質は複合体を形成。この複合体が別のタンパク質に働きかけて不要な細胞質を取り除き、精子の形を変化させていると考えられる。働きを阻害すると頭部に変形が生じたため、複合体が正常な精子を作るために重要な役割を持っていることが判明した。