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岐阜ICと岐阜大学医学部附属病院

東海環状道は命の道 病院間連携強化で地域医療を守る

 東海環状自動車道の山県インターチェンジ(IC)―本巣IC間(延長11・9㌔)の4月6日の開通まであとわずか。今年夏ごろには本巣IC―大野神戸IC間が開通予定で、開通により愛知県の豊田東ジャンクション(JCT)から養老ICまでが一本につながります。区間にある美濃関JCTからは東海北陸自動車道に入ることができ、県内の各圏域の時間的距離がぐっと近づきます。

 一刻を争う医療の現場においても、東海環状自動車道の延伸は一大トピックス。山県IC―本巣IC区間にできる岐阜ICは、岐阜大学医学部附属病院と目と鼻の先にあることから、各圏域の医療機関との連携の円滑化が期待されています。昨年1月には岐阜大学医学部附属病院と岐阜・西濃医療センター西濃厚生病院、中部国際医療センター、高山赤十字病院の4病院が「東海環状・飛騨医療ネットワーク協定」を締結し、地域医療を「点」でなく「面」で支えられるよう定期的に協議を進めています。4病院の病院長が、東海環状自動車道全線開通への期待や地域医療の現状について意見を交わしました。(聞き手は国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所長 松實崇博)

地域医療の維持へ4病院が協定締結

松實 「東海環状・飛騨医療ネットワーク協定」の締結の背景につきましてお話しいただけますか。

秋山 どのように地域医療を維持していくかという点は非常に重要なことで、患者さんのアクセスや医師の派遣、医師の働き方改革といった、さまざまな問題と向き合っていく必要があります。地域の基幹病院には大学病院からも医師を派遣しているのですが、地域の病院で働きながら教育を受けられる体制の構築は必要ですし、臨床研究についても基幹病院といかに一緒に取り組んでいくかを考えなければなりません。

 東海環状自動車道の延伸は、地域の基幹病院から当院への搬送時間の短縮をはじめとする利便性の向上など、患者さんにとって大きなメリットがあります。それぞれの病院で得意な治療がありますから、アクセスが良くなることで望む医療が受けやすくもなります。医師側としても、岐阜市内に住む医師が、地域の病院へ勤務しやすくなります。協定の締結により、それぞれが地域医療の維持のために何ができるかを話し合っていきたいです。

2024年1月に行われた締結式=岐阜市柳戸、岐阜大学医学部

東海環状道の延伸で医師の移動も容易に

松實 東海環状自動車道が延伸されることのメリットやそれぞれの病院の現状について教えていただけませんか。

西脇 大野神戸ICからすぐの場所にあります西濃厚生病院は、揖斐厚生病院(揖斐郡揖斐川町)と西美濃厚生病院(養老郡養老町)が病床再編して2023年10月にできた新しい病院です。これまでは医師の派遣等におきまして、距離的、規模的にも援助を受けにくかったのですが、今回の再編で急性期病床を集約したこと、さらには東海環状自動車道の延伸によって岐阜大学病院までの時間がかなり短くなることで、大学病院から支援を受けやすい環境が整いました。

 一方で問題は、移転元の医療体制です。揖斐厚生病院の跡地には揖斐川町が「いびがわ診療所」を開設、西美濃厚生病院は診療縮小とともに医師数が減少しました。両施設には我々から医師を派遣して支援している状態ですが、施設で対応できないような症例は当院まで紹介受診することも多いです。特に養老と大野は20㌔ほどの距離がありますから、車で受診することが難しい方もおり、シャトルバスによる患者さんやご家族の移動も行っています。シャトルバスを運用するにも高速道路はありがたいインフラだと日々感じています。

杉山 私は大野町の出身で、高校卒業後は主に東京で過ごし、昨年7月にほぼ50年ぶりに岐阜へ帰ってまいりました。久しぶりに帰ってきて、道路網が良くなっていることを実感しています。

 地域医療の在り方として、地域にハブとなる病院があり、必要に応じて大きな病院に行くというのが最善の流れです。当院ではホスピタリティーを大切に、痛くない、つらくない治療の実現を目指して、従来の放射線治療に加え最新の陽子線がん治療装置の稼働を始めるなど、最新の設備、医療機器の導入に力を入れていますが、緊急の集中治療などは、人的資源のある大学病院などとの連携は必須です。

 人の移動は医療において重要なことです。患者さんはもちろん、医師の移動という面においても大きいです。医師にも家庭があり、不便なところへは赴任しにくいということは言うまでもありません。医師の派遣の場合、高速道路の存在は重要。医師が地域の病院に通いやすくなることは大きなことで、ETCの定期券を作ってほしいぐらいです。

竹中 高山市中心部から岐阜市まで、東海北陸自動車道の開通前は国道41号で4時間かかりました。医療は日々高度になっていますので飛騨の患者さんの治療を全て当院だけで完結させることは難しく、これだけ離れていても岐阜大学病院に搬送するケースはあります。岐阜ICができれば、当院から岐阜大学病院まではおそらく2時間を切ってくるのでは。一般道がほとんどありませんから、救急隊員の疲労度も全く違うものになるのではと期待しています。

 大学病院の横にICがあることは大きなことです。高速道路ができることは物流面が良くなるだけではありません。情報の道、命の道なのです。今まで助からなかった飛騨の方が助かるようになるのです。

 東海環状自動車道の延伸は喜ばしいことですが、早期の4車線化を実現させ、一つのレーンは自動運転等に対応させていただくのはいかがでしょうか。

松實 4車線化のご要望はよくいただきます。世界では4車線での整備が主流ですが、早期開通に向けてまずは暫定2車線での整備を進めています。4車線化は、医療界にとっても必要なことがよくわかりました。

病院間連携、災害派遣全線開通で医療体制充実へ

松實 全線開通に向けての期待は。

秋山 高速道路が岐阜大学の近くを通ることになり、岐阜大学病院周辺の街並みは大きく変わります。28年度には岐阜薬科大三田洞キャンパスもこの近くに移転予定で、この一帯は医学、薬学、工学などのライフサイエンスの学術研究拠点としてさらに変わっていくでしょう。県全体がつながり、さらには愛知県や三重県とも連携がとりやすくなります。今後の発展を楽しみにしています。

西脇 全線開通となれば、各医療圏にある厚生連病院同士の連携が取りやすくなる点も大変ありがたい点です。例えば検診車や医療機器などは厚生連病院ごとに保有しているわけではなく、機器やスタッフを移動しやすくなることは大きいです。パンデミックの発生時や災害時も、他の厚生連病院のスタッフが行き来して対応することもありますから、地域医療を守るために、早期開通に期待しています。

杉山 東海環状自動車道は首都圏の圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の役割。全線開通により、岐阜と愛知、三重県が一体化し、人の流れが各段に良くなるでしょう。人の流れは情報の流れです。この地域が、首都圏や関西圏にも負けない経済圏、医療圏となることを楽しみにしています。当院といたしましても、より広範囲の新たな地域の医療ニーズにも迅速に対応していきたいと考えています。

竹中 赤十字病院として、災害対策の進展に期待しています。昨年の能登半島地震の際も、高速道路が途中までしかありませんでしたから、DMAT(災害派遣医療チーム)が現場に到着するまでにとても時間がかかりました。全線が開通すれば、万が一、飛騨地方で災害が発生した場合は全国から来ていただきやすくなりますし、もちろん、こちらからも向かいやすくなります。南海トラフ巨大地震が発生した場合などは、太平洋側の患者さんを積極的に受け入れることができればと考えています。

松實 ICと病院の距離が近いこと、ストレスなく行き来できることの重要性が改めてわかりました。高速道路とその近くの民間施設を直結させた「民間施設直結スマートIC」というものもあります。病院に向けて利便性をお伝えしていくなど、私たちもより良い医療体制の構築のお手伝いができれば。本日はありがとうございました。

[PR]PRESENTED BY 国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所

座談会の様子=岐阜大学医学部(岐阜市柳戸)
​聞き手は国土交通省 中部地方整備局 岐阜国道事務所長 松實崇博(写真左)