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 ダイバーシティは「多様性」を意味し、個人の違い、つまり性別、人種、国籍、年齢、障害の有無等のあらゆる違いを受け入れ、尊重しようという考え方です。企業の経営にダイバーシティを取り入れることで、社員の働き甲斐を高めたり、社員の活躍の場をひろげたりする企業があります。

 しかし、誰にでもありうる「アンコンシャスバイアス」つまり「無意識の思い込み」が、気づかないうちに私たちの意思決定に影響を及ぼし、結果としてダイバーシティ推進やジェンダーギャップ解消の課題となっています。

 そこで岐阜県では、アンコンシャスバイアスについて考える勉強会「『アンコンシャスバイアス』に気づきダイバーシティ経営に踏み出そう」を、2024年11月5日に岐阜市のOKBふれあい会館で開催。20人を超える企業・団体の代表者や総務担当者らが参加しました。

アンコンシャスバイアスを知る、気づくことが大切

 第1部は一般社団法人アンコンシャスバイアス研究所理事の太田博子氏が「アンコンシャスバイアスを知る・気づく・対処する」をテーマに講演。参加者同士の意見交換の時間も複数回交えながら、職場や友人との会話などを例に、投げ掛けた側の自覚のない言動が相手を傷つけたり、相手の選択肢を狭めてしまったりすることがあることを説明しました。

 そしてアンコンシャスバイアスによるネガティブな影響を防ぐためには、「普通」「みんな」「どうせ」「こうあるべき」など、決めつけや押しつけの言葉をヒントに、「これって私のアンコンシャスバイアス?」と自分に問いかけてみることを提案しました。

 「受け止め方は人それぞれ。相手にとってどうなのかを確認すること、表情や態度などの変化のサインを手掛かりに気づこうとするなどして、それぞれが『私』を主語に「これって私のアンコンシャスバイアス?」と問い続けることが大切」としました。

多様性の尊重で「感性価値」を付与

 第2部ではダイバーシティ経営に取り組む事例として、関市の金属加工メーカー、早川工業株式会社の早川寛明社長が登壇。早川社長はダイバーシティ経営に着手したきっかけは人材確保だとし、「多様な働き方を認め、従来の会社の価値観と違う価値観を取り入れることで、固定観念を壊し、会社の技術やサービスを向上させていくことを目指した」と説明。障がいの有無や勤務時間、副業かどうかなどに関わらず、誰もが得意なことを生かした働き方ができるようにし、品質・納期・コストに続く第四の価値軸として感動や共感といった「感性価値」をイノベーションにより付与できる環境づくりに取り組んでいることを話しました。

 また、コロナ禍を機に学生のインターンシップの受け入れをリモートで行い、距離の制約なく遠方の優秀な人材との新しいつながりを手に入れた例を紹介。早川社長は「実は何が正解か私もわかっていない状態で試行錯誤の日々。新しいことを始めるにあたり、全員に理解してもらうことを目指す『ゼロか100』かではなく、『ナシよりのアリ』に持って行ければ良いと思って対話をすることが大切なのでは」と話しました。

 第2部の最後には太田氏からの質問に早川氏が答える形でトークセッションをし、アンコンシャスバイアスに触れながら、反対意見も聞きつつ物事を決めていくことの大切さについて意見を交わしました。

 参加者からは、「太田氏の話を聞いて、自分が無意識のうちに性別や自分の思う常識で物事を判断してしまっているということに気付いた」「早川社長の『ナシよりのアリ』の話が興味深かった。他者を排除することを求める相談が来た場合の、『ナシよりのアリ』への促し方も聞けたので参考にしたい」などの声が聞かれました。