安倍晋三元首相の国葬の招待者名簿が黒塗りで開示されたことに対する共同通信の行政不服審査請求について、政府は16日までに、棄却すると裁決した。諮問した第三者機関「情報公開・個人情報保護審査会」が、参列が明らかになれば「誹謗中傷を受ける恐れがないとは言えない」との見解を示したのを踏まえた。内閣府は2023年の情報公開請求を受け、黒塗りが74%を占める名簿を開示し、共同通信が不服を申し立てていた。
政府は安倍氏の国葬を22年9月に主催し、経費約12億円を全額支出した。参列者を非公表とする対応は公益性や検証の観点で課題が残りそうだ。
国葬の案内状は6175人に送付された。政府が23年7月に開示した招待者名簿は4626人の氏名が黒塗り。このうち安倍氏と交流があった著名人らが含まれる「遺族・遺族関係者」は96%相当の1132人が不開示で、「元国会議員」は1104人全員の氏名が伏せられた。
情報公開・個人情報保護審査会の答申を受けた内閣府の裁決は先月19日付。