石川県能登町小木地区の被災前を再現する模型を製作する神戸大大学院の中岡和貴さん

 石川県能登町小木地区で、住民らが能登半島地震被災前の様子を再現する大型模型を作り、将来の復興まちづくりに生かす「記憶の街」プロジェクトが進んでいる。県内外の大学生らが技術面で協力し、住民の思い出や地域の歴史、文化などを聞き取りながら製作するワークショップが8日、同地区で開かれた。

 模型は地区周辺を縮尺500分の1で再現した約5メートル四方の発泡スチロール製。建築専攻の大学生や高専生約40人が建物の製作、山や入り江など地形の型取りを担当した。

 色塗りは住民らとともに行った。製作の途中で「ここに家があった」「港に自分の漁船がある」といった住民の話を基に追加する場面も。小木地区出身で、現在は町内の別地区に暮らす山下梨乃さんは「地元の人だけではここまではできない」と感謝を述べた。

 ワークショップを開催した神戸大の研究室は、東日本大震災の津波で被災した岩手県大槌町や宮城県気仙沼市などでも製作を手がけた。

 小木地区でのワークショップは9日まで。完成した模型は、今月下旬に閉校する地区の中学校に展示される。