最大2・06倍の「1票の格差」を是正せず、人口比例に基づかない区割りで実施した昨年10月の衆院選は憲法違反だとして、二つの弁護士グループが選挙の無効を求めて全国14高裁・支部に起こした計16件の訴訟の判決が7日、出そろった。16判決全てが「合憲」と判断。審理は最高裁に移る。
衆院小選挙区では人口比をより正確に反映しやすい議席配分方法「アダムズ方式」の導入が決まり、2022年に改正公選法が成立するなど制度見直しが進んだ。最高裁はこうした動きを評価し、格差が2・08倍だった前回21年衆院選を合憲と判断していた。
今回衆院選は「10増10減」を初めて運用する形で実施され、格差もやや縮小。高裁判決のうち合憲が9件、「違憲状態」が7件と評価が分かれた前回と対照的に16件全てで同じ判断が示された。
原告側によると1票の格差訴訟で高裁判決が全て合憲でそろったのは初めてだ。7日の判決後に記者会見した代理人の升永英俊弁護士は「人口比例選挙を求める主張に対して何一つ判断していない。残念だ」と述べた。