日産自動車の新経営体制と今後の焦点

 日産自動車は、内田誠社長(58)ら幹部の退任で経営陣を大幅に刷新し、再建を急ぐ。ホンダとの統合協議再開を含め、新たな提携戦略が焦点となる。ただ後任のイバン・エスピノーサ氏(46)は今後の方向性を示さず、業績悪化の責任の一端を担う社外取締役の全員留任に有識者から懸念の声が上がる。経営改革が進むかどうかは見通せない。

 自動車業界では電気自動車(EV)やソフトウエア分野の開発費が膨らみ、他社との提携は重要度を増している。日産は2025年3月期の連結純損益が800億円の赤字見込みで、単独での生き残りは困難。提携先の模索は最優先課題となっている。

 エスピノーサ氏は11日の新体制発表の記者会見で、ホンダとの再協議について「臆測の内容にはコメントできない」と言及を避けた。商品企画責任者のエスピノーサ氏の経営手腕は「未知数の部分が多い」(東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司氏)。ホンダが打診した子会社化案に、日産社外取締役の一部が賛成した経緯があり、再協議を目指すのかどうかに注目が集まる。