ミャンマー北東部シャン州にある犯罪組織の拠点の画像を見せる許博淳さん=4日、中国上海市(共同)

 【上海共同】中国からミャンマーに連れて行かれ、特殊詐欺の「かけ子」役を犯罪組織から強要された中国人男性が15日までに取材に応じ「詐欺組織は逃亡を図った人を銃殺した。恐ろしくて詐欺に協力した」と証言した。家族が身代金を支払って中国への帰還を果たしたが「監禁され日常的に暴行を受けた。監獄より残酷な場所だった」と振り返った。

 証言したのは上海市の許博淳さん(39)。失業中だった2023年7月、月給1万元(約20万5千円)という映画エキストラの仕事に応募。指定されたミャンマー国境近くの雲南省の町へ行き、仕事を手配する男に携帯電話と身分証を預けると山道を歩かされた。いつの間にかミャンマー北東部シャン州コーカン地区に入り建物に監禁され、だまされたと気づいた。

 一緒に監禁されていた人たちのうち、11人が組織に抵抗して逃亡を図ったが銃で撃たれ、4人が死亡。遺体は変色するまで放置され、恐怖から「もう中国には帰れない」と覚悟したという。暗号資産を売りつける詐欺をさせられ、成績が悪いと深夜に殴られる日々が続いた。