飛騨をほぼ統一した父直頼の跡を継ぎ、位階を得て公卿の一員となり、支配を盤石にする三木良頼だが、時代は天下統一に向け、加速度的に進んでいく。
良頼が猟官運動に躍起になっていた永禄年間(1558~70)、甲斐(山梨県)の武田信玄、越後(新潟県)の上杉謙信という時代を代表する戦国大名2人が宿命の対決を繰り広げ、隣接する飛騨に大きな影響を与えた。
岡村守彦さんは「飛騨中世史の研究」で、武田も上杉も「先代においては三木氏と、さほど大きな差はなかった。しかし、息子の代に入って、その差は極端に広がった。息子たちの器量の差である。良頼には自分の生きている時代がどういう時代か、全く理解できていなかったと思われる」と酷評。谷口研語さんは「飛騨三木一族」で「いかに三木家を維持していくか、その道を探らればならなかった」と立場を分析する。...