【シドニー共同】オーストラリア南東部ビクトリア州のブジビム国立公園で大規模な山火事が先月発生し、州政府は今月28日までに、大やけどや餌不足で動けなくなったコアラをヘリコプターから銃で狙撃し「安楽死」させる措置を取った。地元紙ヘラルド・サンは、最大750匹が死んだとみられると報じた。
保護団体は安楽死に一定の理解を示しつつも「銃で撃つのは残酷だ」などと批判している。
州政府によると、3月10日に落雷で山火事が起き、これまで2200ヘクタールが焼けた。コアラの主食であるユーカリの大部分も損なわれた。
州環境局の責任者ジェームズ・トッド氏は、コアラが高木の上にとどまっていることや、険しい地形の現場に徒歩で近づくのは危険を伴うことを総合的に判断して今回の措置を取ったと説明した。
セントラルクイーンズランド大のローフ・シュラグロット博士は「コアラは小さく、上空から確認するのは難しい」とみる。やけどの程度や、おなかの袋の中に子どもがいるかどうかが判別できず「無秩序で無差別なやり方だ」と批判した。